動物取扱業の許可申請ガイド②登録に必要な要件とは?施設・責任者・土地のチェックポイントを解説【群馬県対応】

動物取扱業の許可申請ガイド②登録に必要な要件とは?施設・責任者・土地のチェックポイントを解説【群馬県対応】

ペットショップ、トリマー、猫カフェ、保護施設——
ペットに関わる事業を始める際に欠かせないのが、「動物取扱業」の許可や届出です。

とはいえ、調べてみると法律用語や必要書類が複雑で、「うちも登録が必要なのかな?」「保健所に行く前に相談できる人がいたら…」と感じる方も多いのではないでしょうか。

このページでは、第一種・第二種動物取扱業の申請を考えている方向けに、登録・届出の種類や要件、申請の流れや注意点を、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

執筆・監修は、家庭動物管理士・ペット相続士の資格を持つ行政書士・黒澤侑加が担当しています。
高崎市にある「ねこのて行政書士事務所」では、北海道から九州まで全国動物取扱業の申請・更新・変更、動物譲渡契約・所有権移転の手続き、保護猫カフェの立ち上げ支援、さらにはNPO法人設立の法務支援など、ペットに関する現場に密着した法的支援を行ってきました。

また、保護猫活動や、猫と暮らす人のための終活支援(ペット信託・ペットノート作成)にも力を入れており、地域に根ざした相談役として日々ご相談をお受けしています。

制度や申請要件は年々厳格化されていますが、きちんと準備すれば必ずクリアできます。
「これから始めたい」「必要なのかどうかをまず知りたい」といった方にも、やさしくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

黒澤

実はこれ、行政書士の中でも“できる人・申請経験がある人が少ない”ジャンルです。

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目次

この記事はこんな方に向けて書いています

  • 動物取扱業の登録・届出を考えているが、何から準備すればよいか分からない
  • 保健所から「施設や責任者の要件を確認してください」と案内されたが、要件がよく理解できない
  • ペットショップやトリミングサロン、猫カフェ、保護施設などの開業を予定している方
  • 借家や賃貸物件で開業予定で、契約書の確認や土地の制限に不安がある
  • 動物取扱責任者の資格や経験について、自分が要件を満たしているか不安な方
  • 市街化調整区域・用途地域などの法的制限について、どこに確認すればよいか悩んでいる

動物取扱業の登録に必要な「4つのチェックポイント」

動物取扱業の登録には、複数の法律的・実務的な要件をすべてクリアする必要があります。
ここでは代表的な要件をわかりやすくご紹介します。

① 動物取扱責任者の選任要件

第一種動物取扱業の登録には、事業所ごとに「動物取扱責任者」の選任が義務づけられています。
この責任者は、動物の取り扱いに関する専門的な知識と技術的能力を持つことが法令で求められており、2020年(令和2年)6月の法改正により、要件がより厳格化されています。

資格要件には、獣医師・愛玩動物看護師などの国家資格、または家庭動物管理士などの公的資格+実務経験・教育機関卒業といった要件があります。

動物取扱責任者になれる人(どれか1つを満たす+実務経験が必要)

パターンⅠ 国家資格を持っている人
  • 獣医師
  • 愛玩動物看護師
    この2つは、そのまま責任者になれます(ただし、実務経験も必要)
パターンⅡ 動物系の専門学校や大学を卒業した人
  • 「犬猫の飼育・販売・訓練」などを1年以上学んだ課程を卒業している
     例:ペット系の専門学校・畜産系の大学 など
    これに加えて、半年以上の実務経験が必要です
パターンⅢ 民間資格を持っている人(+実務経験あり)
  • たとえば「家庭動物管理士」や「愛玩動物飼養管理士」など
    この場合は、半年以上の実務経験または1年以上の飼育従事経験が必要になります

「資格を持っているだけ」では足りず、「該当分野での実務経験」や「種類ごとの従事経験」とセットで要件を満たす必要があります。

黒澤

「実務経験」にはかなり細かい規定があり、自治体ごとに判断が異なっています。20年以上前の就労経験で却下されてしまった事例もあります・・・

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② 土地・用途地域の適合性

都市計画上の用途地域チェックが必須

動物取扱業を始めるには、「その土地でそもそも動物施設をやってもいいのか?」を事前に確認する必要があります。
これは、都市計画法という法律で決まっていて、地域によって建てられる建物の種類や使い方が制限されているためです。
実務上、自治体では「動物飼養施設=畜舎」と見なされ、審査・指導が行われます。

黒澤

用途地域の確認は絶対に必要です。
「ダメな地域」では、どんなに施設を整えても許可が下りません。
建築基準法・都市計画法の制限は、動物愛護法よりも強力なので、場所選びで全てが決まると言っても過言ではありません。

用途地域畜舎の設置可否
第一種低層住居専用地域❌ 不可
第二種低層住居専用地域❌ 不可
第一種中高層住居専用地域❌ 不可
第二種中高層住居専用地域❌ 不可
第一種住居地域✅ 条件あり
第二種住居地域・準住居・近隣商業・商業・準工業・工業地域✅ 設置可能

市街化調整区域(原則として建築を抑制する区域)では、たとえ他の動物取扱業の基準をすべて満たしていても、原則として施設の設置はできません。
つまり、その土地に建てられるかどうか以前の問題として「場所がNG」です。

黒澤

この「用途地域」や「市街化調整区域」の確認は、専門用語が多くて分かりづらいですよね・・・
自分で判断するのが難しいときは、行政書士などの専門家に一度確認してもらい、「通訳」してもらうのがおすすめです。

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③ 賃貸物件・借地利用における使用許可

建物や土地が自分の名義でない(賃貸や借地の)場合に動物取扱業を行うには、
登記簿謄本に記載された所有者や、契約書に記載のある管理者からの許可(使用承諾書)が必要です。

また、契約書の内容も必ず確認する必要があります。
たとえ用途地域の条件を満たしていても、契約上「動物利用不可」「事業利用不可」などの制限があると、運用そのものが不可能になります。

確認すべき重要ポイント

  • 契約書に「動物の使用禁止」などの文言がないか
     例:「ペット可」はOKでも、「商用の動物利用不可」となっていることがあります。
  • 使用承諾書の取得が可能かどうか
     動物取扱業登録の際、多くの自治体では「使用承諾書の提出」が必要になります。
     これは、土地建物の所有者が“動物施設としての使用を許可している”ことの証明です。
  • 事業利用・店舗利用が認められているか
     住居用賃貸物件では、そもそも事業利用が禁止されているケースが大半です。
  • 近隣トラブルの懸念
     鳴き声やにおい等に関する苦情が想定されるため、貸主が慎重になっていることも多く、交渉の段階から丁寧な説明が必要です。
黒澤

「住宅用賃貸物件を使えると思っていたらNGだった」「貸主はOKと言っていたけど書面が出なかった」など、直前で頓挫する例もあります。
ご自身で判断せず、契約書と登記情報をそろえてご相談いただければ、早い段階でリスクを回避できますよ。

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④施設の構造・設備に関する基準

登録を受けるためには、動物の種類や取り扱い形態に応じて定められた施設の構造・設備基準を満たす必要があります。
これは単なる「広さ」だけでなく、動物の福祉確保や周辺環境への配慮までを含んだ詳細な要件です。

主なチェック項目(一部例)

  • 広さ:種類・頭数ごとに最低面積が定められています(例:猫1頭=体長の2倍 × 体高の4倍以上)。
  • 材質:床・壁は掃除・消毒しやすい防水素材であること(木材・金網は原則不可)。
  • 運動スペース:動物が自由に動ける広さ・高さ・構造が確保されていること。
  • 空調管理:冷暖房・換気設備が設置され、温度・湿度を常時管理できること(温湿度計の設置含む)。
  • 騒音・悪臭対策:周辺環境に配慮し、防音構造や換気設備で臭気や騒音を軽減できること。
  • 照明:自然光または人工照明により、明暗の差や昼夜の区別が適切に保たれていること。
  • 衛生管理:給餌・排泄・消毒・清掃のしやすい構造で、排水設備が整備されていること。
  • 脱走防止:扉・窓・囲い等により、動物の逸走や外部からの侵入を防げる構造であること。
  • 給餌・給水設備:種類・頭数に応じて個別に設置され、常時清潔に保たれていること。
  • 隔離スペース:感染症・健康管理のための隔離場所とその衛生設備が確保されていること。
  • 記録管理:飼養頭数、健康状態、給餌・清掃等の日常管理について記録し保存していること。
黒澤

申請の際には、自分の施設やケージがこのルールに適合しているかどうかを、平面図などで説明できるように準備しておく必要があります

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補足的・場合によっては必要となる要件

近隣住民との関係構築・トラブル回避策
 - 鳴き声・臭い・車の出入りなどがトラブルになるケースも
 - 苦情リスクの高い住宅街や共同住宅では、事前の説明や対策が求められることがある

従業員・協力者への教育・指導体制
 - 多頭飼養・多店舗運営・スタッフ雇用の場合、動物取扱責任者以外のスタッフにも動物取扱い知識が必要

帳簿・記録管理の体制整備
 - 飼育記録、取引記録、体調や給餌のログなどを一定期間保存することが義務付けられる
 - 紙ベースでも可だが、様式・内容の整合性が求められる

動物愛護管理法以外の関係法令への対応
 - 騒音規制法、廃棄物処理法、消防法、など

車両や設備の衛生・管理基準(移動業種など)
 - 移動販売・出張サービス・ふれあい移動動物園などは、車両内の構造基準移動時の安全確保も対象に

自治体独自の条例や細則
 - 自治体により判断が異なるため、県の動物愛護センターでの事前確認が推奨される

現地確認(立入調査)での最終チェック

登録申請にあたっては、書類審査だけでなく、保健所や動物愛護センターによる現地調査(実地検査)が必ず実施されます。

この調査では以下のような項目が実際の施設環境をもとに確認されます。

  • 飼養スペースの広さや構造
  • 臭気・騒音などの周辺環境への影響
  • 排水・清掃・換気の管理状況
  • 脱走防止措置や隔離スペースの有無
  • 施設が図面通りに整備されているか

現地確認のポイント

書類上で要件を満たしていても、現地での不備により「登録不可」となるケースもあります。
特に以下のようなケースでは現地でNG判定されやすいため注意が必要です。

  • 賃貸物件で設備が未整備
  • 市街化調整区域など場所に制限がある土地
  • 騒音・臭気対策が不十分な場合

対策のポイント

  • 事前に自治体の窓口で施設計画を相談する
  • 平面図・写真を準備し、要件に適合していることを説明できるようにしておく
  • 必要に応じて行政書士など専門家に確認を依頼する

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手続きの流れ(群馬県の場合)

  1. 事前相談(保健所または動物愛護センター)
  2. 申請書類の準備と提出
    • 以下の書類を窓口に提出:
      • 【第一種】登録申請書、実施方法、施設図面、使用承諾書、責任者・従業員の資格・実務証明など。
      • 【第二種】届出書、実施方法、施設・ケージ図、必要に応じて契約書類など
  3. 手数料の支払い
    • 第一種:16,000円(群馬県証紙)
    • 第二種:群馬県は無料。ただし自治体によって有料の場合あり 。
  4. 現地確認(立入調査)
    • 保健所や愛護センターによる現地調査あり。
    • 図面と実際の施設が一致しているか、環境/衛生/臭気・騒音などに問題がないかを確認 。
  5. 審査・結果通知
    • 書類提出から登録完了まで、第一種は約7〜14営業日程度。
  6. 登録証の交付と営業開始
    • 登録証または識別章を施設に掲示し、正式に営業開始。
  7. その後のフォロー
    • 毎年度の研修受講義務(責任者)
    • 毎年の定期報告(販売業など)
    • 5年ごとの登録更新(第一種)

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よくある質問

登録のために「猫カフェ」や「ドッグサロン」を始めたいのですが、自宅でも可能ですか?

条件付きで可能ですが、ハードルは高めです。
都市計画法上の用途地域や、施設の構造要件をクリアする必要があります。
また、賃貸物件の場合は使用承諾書なども必要です。

過去に動物取扱責任者として働いたことがあります。その経験は使えますか?

年数や内容によります。
経験年数の証明ができない、または20年以上前の経験などは無効とされる可能性があります。
不安がある場合は、事前相談で自治体に確認することをおすすめします。

動物取扱業の登録後、何か義務がありますか?

はい、多数あります。
たとえば、事業所には標識を掲示しておく義務がありますし、毎年、業務報告書を所定の様式で提出する必要もあります。登録は一度きりではなく、5年ごとに更新手続きも求められます。こうしたルールを守らない場合、業務停止や登録取消などの行政処分を受ける可能性があるため、登録後の運用も慎重に行う必要があります。

すでに施設をつくってしまったけど、申請が通るか不安です…

申請前に施設を完成させてしまうと、「実地検査で不適合となり、改修が必要になる」リスクがあります。
自治体ごとに細かい運用が異なるため、必ず事前相談(図面や写真の提出)を行い、工事前に基準適合の確認を取っておくことをおすすめします。
とくに
排水設備・防音構造・脱走防止措置
などは、あとからの修正が難しいポイントです。

黒澤

「申請がゴール」ではなく、「運用していくこと」こそが本番です。あとで困らないように、疑問は遠慮なく聞いてくださいね。小さなことほど、早めの確認が大切です!

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この記事を書いた人

群馬県高崎市を拠点に活動する行政書士(登録番号第23140438号)。相続や信託、土地活用、駐車場経営支援といった暮らしや経営の根幹にかかわる法務をはじめ、法人設立・補助金申請・外国人雇用サポートなど、個人・法人問わず幅広い分野でのサポートを行っています。

特に、家庭動物管理士・ペット相続士の資格を活かした「ペットと暮らす人のための法務支援」に力を入れており、飼い主がもしものときにも安心して愛する猫や犬の将来を託せるよう、遺言や信託設計などのサポートを提供。実際の現場で寄せられる不安の声に耳を傾けながら、飼い主とペットの双方にとって“やさしい備え”を形にするお手伝いをしています。

また、保護猫カフェ「ととのう猫カフェバーニャ」の顧問行政書士として、飼い主のいない猫たちと地域とのつながりづくりにも関与。3匹の保護猫と暮らす一人の猫好きとして、「猫も人も、最後まで安心して暮らせる社会」の実現を目指しています。

“ねこのて”のように、「どうしたらいいのか分からない」というときに最初に思い出してもらえる存在でありたい。そんな思いを大切に、制度や法律のむずかしさを誰にでもわかる言葉にして、一人ひとりの困りごとに寄り添いながら、解決への道筋を一緒に描いていきます。

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